ぶどう農家が無煙炭化器を使ってみた感想(メリット・デメリット)
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いつもご覧いただきありがとうございます。

今回はぶどう農家が今年導入しました無煙炭化器を、剪定後の枝の処分時に使ってみた感想を書かせて頂きます。

今後無煙炭化器を導入するか検討されている方の参考になれば幸いです。

結論としては、「ちょっと大変だけど、剪定の方法を工夫しながら、土壌改良や環境の為に使っていきたい」という感覚です。

無煙炭化器はぶどうの剪定で出た大量の枝を処分するものではなく、炭を焼くためのツールという事を実感しました。これまでと比較して枝の処分の時間は3倍くらいになったような感覚というデメリットはありますが、自然環境やCO2の削減など環境にやさしく、土壌の改善材料としてはかなり良いのかなと思います。

畑の周りに生えて毎年処理に困っている竹を炭に出来るというメリットや、火力もかなり強いので、大量の枝ではなく、太めの木を処理したい場合もかなり心強いという感覚です。

無煙炭化器は、現状まだ上手く使いこなせていないのですが、今後の剪定方法の工夫と、環境への対応、炭の土壌改善の効果に期待していきたいと思います。

個人的には、今後色々と活用していけそうなので、導入してよかったと感じています。

ということで、無煙炭化器を使って剪定後の枝を炭化させた時のメリットとデメリットについて、個人的な使ってみた感覚から詳細について書かせて頂きます。

まずは、デメリットから紹介していきます。

目次

◆ぶどう農家が無煙炭化器を使って感じたデメリット

今回初めての導入で、一番大きいサイズは高価すぎて購入を断念し、中サイズの炭化器を使っていたという事や、炭化器を導入する以前と同じように枝を剪定していたことで、枝の長さなども調整していなかったという前提事項もありますが、実際に使ってみて感じたデメリットを書かせて頂きます。

1.剪定で切った枝が無煙炭化器からはみ出た

ぶどうの枝は夏の間にかなり長くなります。特に昨年は剪定が甘かったので、枝が伸び伸びになっていました。

長いモノは4メートルから5メートルくらいあるような枝もあり、1メートルか2メートル程で切ってはいたのですが長すぎました。まとめて焼こうとするとはみ出してしまい、少しずつ分解しながら焼かないといけない状態になり、かなり苦戦しました。

来年は30センチぐらいで枝の長さを揃えるなどの工夫が必要かと感じます。

2.枝の量が多すぎて、すぐに炭化器がいっぱいになってしまった

昨年まで枝を残し過ぎていたことも要素としてあると思いますが、一つの畑だけでも枝が大量に出ます。

その枝を焼いくと、すぐに大量の炭が炭化器を埋め尽くしてしまいます。炭化器の上まで炭が埋まってしまうとただの野焼きと同じ状態になってしまうので、いっぱいになったら炭焼きを中断しながらの作業となりました。

3.枝の処分の作業時間が3倍~4倍ほどに増えた

10アール(1反)ほどの畑に対して、昨年は2人で、4時間ほどで完了していた作業が、今回は3日に分けての作業となり作業時間が3倍ほどに膨れ上がったという感じがします。

昨年までは山の奥の方にある枝を焼くスペースで、沢山の枝を集めて一気に焼いていました。そのため、大量の枝を一気に処理できておりました。大量の枝を一気に処理できるので、1反の畑でも集めるのを含めて4時間~5時間ほどで完了してる感覚です。

炭化器から溢れたり、上に積みあがってしまうとただの野焼き状態になってしまい、通常の酸素を使ってCO2を排出してしまうので、はみ出さないようにする工夫や少しずつ枝を入れたり、上に積み上げ過ぎないようにと考えながら燃やすので、作業時間がかなり伸びた感覚があります。

上でも書きましたが、枝の処分としての作業ではなく、炭焼きとしての作業が必要になった影響かと思います。めちゃくちゃ大量に炭が出来るので驚きでした。

4.煙が結構出てしまった

無煙炭化器ということで、煙は殆どでないはずなのですが、ぶどうの枝を燃やしたときに、かなり煙が出てしまいました。勢いが出てきたら煙の量は減りますが、炎が出ている時に上に枝を追加すると煙が出るような形でしたので、住宅地の近くでぶどう農家が使うのは少し厳しいという感覚です。ただ、野焼きしている時に比べたら圧倒的に煙はすくなかったです。

原因は、枝がごちゃごちゃで空気が入ってしまったり、はみ出た部分も多くあったこと。また、枝が完全に乾燥していなかったかもしれません。

ぶどうの枝の入れ方などによって対策が可能だと思われますが、色々と試したのですが、中々難しかったです。今後上手に焼くにはどうするかを考えていかないといけないと感じます。

◆ぶどう農家が無煙炭化器を使って感じたメリット

色々とデメリットを先に書かせて頂きましたが、次は使ってみて感じた良かった点について書かせて頂きます。

1.火の燃える範囲を限定できるので安心&畑に持って行って焼ける

昨年までは山で枝をまとめて燃やしていたので、畑で出た枝も山奥にある燃やせる場所に持って行ってから処理をしていました。そのため畑毎に燃やすというのは出来なくて、枝を別の場所に持って行って燃やしておりました。今回からは畑毎に処理できるようになったので、移動のコストは削減できたかと思います。

ただ、ぶどうの枝を燃やす時に煙が結構出てしまったので、住宅地に近くでやるのはかなり不安でしたので、来年からは持って行って処理することになりそうです。

また、以前あった事ですが、火を消したつもりでも消えておらず畑の中で火が燃えていたという事が過去にあったのですが、火の燃える範囲が限定できるのと、消火も簡単なのでかなり安心して利用が出来ます。

2.昨年に比べてCO2を350㎏近く削減できた?

夏の間に、ぶどうの枝を含め植物は、二酸化炭素を吸って、酸素を出します。その時に二酸化炭素の中に含まれている炭素は枝の中に取り込まれています。(木の主成分は炭素と酸素と水素)

去年まではただ野焼き状態でしたので、燃やして処理すると炭素と酸素が結びついて二酸化炭素となって自然の中に戻ってしまいます。(夏の間に吸収した分を出しているのでプラスマイナスゼロの状態)

しかし、炭として残すことによって、本来二酸化炭素として空気中に消えてしまっていた分がそのまま炭素の状態で残っているので、夏の間に吸収した二酸化炭素をかなり多く酸素の状態で残していると考えられます。

今回の炭焼きでは何度か失敗しましたが、20ℓの土のう袋に約15回分ほどの炭素を残すことができました。重さがまちまちなので、重量を図るのは難しかったのですが、1袋で5~7キロほどの炭が入っていると仮定すると、約80kg~100kgの炭素が取れました。

二酸化炭素は炭素1個と酸素2個で出来ており、モル質量で考えると酸素は32グラム、二酸化炭素は44グラムらしいので、44-32=12gが炭素の量。

100kgの炭素が残った場合で考えると二酸化炭素はどれくらいの量かを考えてみました。

12g : 44g = 100 kg : X kg

ということで、12Xkg= 4400kg

X=4400/12 kg =366.666…kg

ということで、367kgほどの二酸化炭素を削減できたような感覚があります。

ざっくりとした計算&計算が本当にあっているのか分からないので、分かる方おられましたらお手数ですがご指摘頂けると幸いです。

1世帯当たりの二酸化炭素排出量を調べると

令和3年度の世帯当たりの年間 CO2排出量(電気、ガス、灯油の合計)は、2.74トン CO2 となった。

環 境 省:https://www.env.go.jp/content/000122573.pdf

ということで、2740kgほどの二酸化炭素が出ているので、380kgはとても些細な数字というのが実際の所なのですが、来年はもう少し作れる炭を増やしていければと考えています。

3.土壌の改善の為の炭が大量に確保できる

炭を土壌に蒔くことで、土壌保水効果があるという研究が沢山あるようです。また、微生物の住処となってくれたりする効果があるようです。まだ調べきれていないので、今後調べていきたいです。

なるべく自然の力を最大限に生かしながら有機栽培の方法を取り入れていきたいという想いでぶどう栽培をしているので、この炭を活用することによって土壌のチカラをアップさせていければと考えています。

また、炭の20ℓ入りを購入しようとすると、相場を調べてみると1袋あたり1500円程の様ですが、15袋で20000円分くらいになります。何度か失敗してしまったので、来年からは30袋くらいは確保できると思いますので、継続すると後々大きい費用になってくると思います。

特に枝を焼くと細かい炭が取れるので、地面に撒くのもバラバラにすぐなってくれるので良い感じです。

4.太い枝もすぐに焼ける、処分に困っていた竹が炭に出来る!

これまで野焼き状態で焼いていると、太い枝やボロボロになった木の支柱などを焼くのは難しく、処分に困っていました。

しかし、無煙炭化器に入るサイズに切って入れると、あっという間に炭化して炭の状態になっているのが印象的でした。

処分に困るような太めの枝や、畑の周りにかなり強めに生えている竹を焼くときはかなり心強いと感じています。畑の周りにかなり強めの竹が生えており、少しずつ処分の為に切っていたのですが、このあたりが炭として焼けるとかなり良いなと感じています。

竹炭は通常の炭に比べて土壌改善の効果も高いという事らしいので、かなり楽しみです。
現在は切り倒して乾燥させている状態ですので、乾燥させ次第焼いていきたいと思います。

現在どうしようもなく放置されている竹林の整備も出来そうなので、かなり有り難いです。

ということで、現在使ってみた感覚としては、かなり時間がかかり作業量が増えるという厳しいデメリットもあり、デメリットの方が多く挙がってしまったのですが、炭焼き炭治郎の気持ちになれるので、結構楽しみながら作業出来ました。

火力がかなり強く、油断していると前髪が焦げたり、手袋してても物凄い熱く、真冬で寒い日でもサウナに入っているかと思うような大量の汗が出ます。作業後はかなりポカポカと温かく気持ちよかったです。

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◆最後に

農業について勉強することが多いですが、新しい分野に触れるのは楽しいです。

炭焼き中はとても暖かく、楽しく作業が出来るので、今後は皆さんと一緒に炭焼き出来るような環境を作っていければ良いなと感じます。

自然環境に寄り添いながら農業に関われると良いなと感じています。

以上、長文にお付き合い下さりましてありがとうございました。

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