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今回は、いぬいぶどう園で管理している各畑の情報と、最近行った土壌分析の結果をご紹介します。
BLOF理論に沿った施肥設計を行っており、毎年少しお金はかかるのですが、2022年から圃場毎の分析をして貰っております。施肥設計も非常に複雑で、理解していない部分も多く、結果が出るまでは時間がかかると思いますので、もう少し様子を見ていきたいと思います。
目次
土壌診断の項目と重要性
土壌分析の診断項目は以下の項目でした。
診断項目について
- 比重
- CEC
- EC⇒記載無
- pH(水)
- pH(塩化カリ)⇒記載無し
- アンモニア態窒素
- 硝酸態窒素
- 可給態燐酸
- 交換性石灰CaO
- 交換性苦土MgO
- 交換性加里K2O
- ホウソ⇒記載無し
- 可給態鉄
- 交換性マンガン
- 腐植⇒記載無し
- 塩分⇒記載無し
そのうちEC,pH(塩化カリ),ホウ素,腐植,塩分の項目については空白でした。
それぞれの項目が何を指しているのかについても見て分からなかったので、調べてみました。
- 比重:調査中
- CEC:調査中
- pH(水): 土壌の酸性度を表し、植物が栄養を吸収しやすい環境かどうかを判断します。
- アンモニア態窒素: 土壌中に残っている窒素の量。アンモニア態窒素は微生物による硝化作用によって硝酸態窒素に分解されてから作物に吸収されるので緩効性がある。
- 硝酸態窒素: 土壌中に残っている窒素の量。硝酸態窒素はそのまま吸収されるので即効性がある。ただし流亡しやすい。
- 可給態燐酸: 作物が吸収可能なリン酸の量で、果実の発育に影響を与えます。
- 交換性石灰CaO・苦土MgO・加里K2O: カルシウム、マグネシウム、カリウムの供給能力を測定し、作物の健全な成長に必要な成分です。
- 可給態鉄・交換性マンガン: 鉄とマンガンは植物の葉や根の健康に影響し、不足すると成長に問題が発生します。
比重やCECに関しての項目が何を指しているのかが分からなかったので、引き続き調べていきたいと思います。
土壌診断の重要性
ベテランの方は長年の経験で土壌分析に近い事が出来るかと思うのですが、客観的なデータで土の状態が分かることが最大の利点です。
どの栄養素が不足しているか、逆にどの成分が多すぎるかを判断し、過剰な肥料の使用を防ぐことができますので、余分な肥料をまかずに済みます。また、適切な栄養補給を行うことで、作物の成長が促進され、品質の向上にもつながります。
土壌診断を定期的に行うことで、土壌の健康を保ち、持続的に良質なぶどうを生産するための土台が作れたらいいなと思います。
各畑の2024年度の土壌分析の結果について
そのままのデータをHPで公開しても分かりづらいので、各畑の情報とそれぞれの要点をまとめたモノを紹介させていただきます。
1. 裏下(西)畑の分析結果
- 面積: 0.5反
- 栽培品種: デラウェア、キングデラ、ほほえみ
- 畑の種類: 2重ハウス
- 分析結果の要点: pHは中性に近く、リン酸とカリの値が多めに検出されました。苦土がやや多めで、鉄やマンガンの微量要素は適切に残っています。
施肥計画
カリが多いため、カリを控えつつ、カルシウムを補う施肥を行います。また、苦土の調整も必要です。
2. 裏上(東)畑の分析結果
- 面積: 0.5反
- 栽培品種: アーリースチューベン、ほほえみ、デラウェア、キングデラ、雄峰
- 畑の種類: 2重ハウス
- 分析結果の要点: pHは中性、リン酸とカリが多めに検出されています。
施肥計画
カリの供給を控えつつ、腐植資材や微量要素を補充し、バランスの取れた土壌管理を行います。
3. 岸田ハウスの分析結果
- 面積: 0.2反
- 栽培品種: 紅富士、アーリースチューベン、巨峰系大粒、虹の雫、話ぶどう
- 畑の種類: 1重ハウス
- 分析結果の要点: リン酸とカリが多く、苦土の値もやや高めです。
施肥計画
カリの供給を控え、リン酸と苦土のバランスを考えた施肥を行い、微量要素の補給にも重点を置きます。
3. 岸田ハウス
- 面積: 0.2反
- 栽培品種: 紅富士、アーリースチューベン、巨峰系大粒、虹の雫、話ぶどう
- 畑の種類: 1重ハウス
- 土壌分析結果: pHは中性に近く、リン酸とカリが多く、苦土もやや多め。
施肥計画
リン酸とカリが多いため、これ以上の過剰を避け、微量要素をバランスよく施肥します。
4. シャインマスカット畑
- 面積: 0.85反
- 栽培品種: シャインマスカット、その他欧州系
- 畑の種類: 2重ハウス
- 土壌分析結果: pHは中性に近いものの、リン酸とカリが過剰に残っています。
施肥計画
カリが過剰なため、リン酸・カリを含む堆肥は避け、他の栄養素をバランスよく補います。
5. 巨峰ハウス
- 面積: 0.32反
- 栽培品種: 巨峰系大粒
- 畑の種類: 2重ハウス
- 土壌分析結果: 微量要素が不足しており、特に鉄・マンガンが少ない状態です。
施肥計画
微量要素を中心に施肥し、鉄とマンガンを重点的に補充する予定です。
6. 飛び地露地
- 面積: 0.32反
- 栽培品種: デラウェア、アーリースチューベン
- 畑の種類: 露地
- 土壌分析結果: pHは中性に近いが、リン酸が多めに検出されています。
施肥計画
リン酸の過剰を防ぐため、カルシウム肥料を使用し、適切に微量要素を補います。
7. 屋敷ハウス
- 面積: 0.15反
- 栽培品種: キャンベル、ベリー、シャインマスカット、巨峰系大粒、マイハート、ピオーネ
- 畑の種類: ハウス
- 土壌分析結果: カリが多く残っているが、リン酸は適切。
施肥計画
カリを控えつつ、微量要素を補充し、バランスの取れた施肥を行います。
8. 奥のニノ露地
- 面積: 0.88反
- 栽培品種: デラウェア
- 畑の種類: 露地
- 土壌分析結果: 鉄やマンガンが不足している状態です。
施肥計画
鉄・マンガンを中心に、微量要素を補う施肥を行います。
9. グランドハウス(借)
- 面積: 1.5反
- 栽培品種: デラウェア
- 畑の種類: 1重ハウス
- 土壌分析結果: pHが低く、酸性寄りで、カリが過剰に残っています。
施肥計画
石灰肥料を使用し、pHを調整しながら、カリの過剰を避ける施肥を行います。
10. 石ケ谷ハウス(借)
- 面積: 0.7反
- 栽培品種: デラウェア
- 畑の種類: 1重ハウス
- 土壌分析結果: pHが低く、リン酸・カリが多く検出されています。
施肥計画
石灰肥料でpHを調整し、リン酸とカリを控えた施肥を行います。
各畑の状況についてまとめ
土壌分析結果から、各畑でのpHや栄養素の残量に違いがありました。
今回は、グランドや石カ谷のデラウェアの出来が非常に良かったです。土壌を調べた結果として、他の畑のpHが6~7の弱酸性~中性に近い感じでしたが、どちらもpHが4.7や4.8という状態で酸性寄りでした。ぶどうのpHについては、5.5~7くらいが良いと言われていたので、今回の結果は少し意外でした。
昨年リン酸やカリが少なくなっていたのですが、今年はリン酸やカリがかなり余っている状況となっていました。雑草を残していたので、それらが有効に働いているのか今後検討していければです。
この分析がどの様に影響していくのか、まだまだ分からない事が多いので、引き続き検討しながら、勉強していきたいと思います🍇
また、生えている雑草からも土の状態などを調べる事も出来るようなので、調査結果についてこちらも引き続き報告していければと思います。