
ぶどう栽培において、毎年頭を悩ませているのが雑草の管理。
特に6月〜9月の成長期には、気づいたら人の背の高さを超えるような草が一面に広がり、放置してしまえば棚まで延びたり、ぶどうの木の成長にも影響が出るほどです。
目次
除草剤に頼らず、ぶどう畑を美しく保つには?
当園「いぬいぶどう園」では、除草剤を使わない方針で長年ぶどうを育てています。
雑草との付き合い方は、農業の在り方そのものを考えさせられる大切なテーマですよね。
最近では色々な除草剤も出ており、環境への負荷が低いものも沢山開発されています。除草剤は厄介な雑草を圧倒的に便利に対策できるので、批判や否定をしているわけではありません。
今回はいぬいぶどう園での雑草管理の取り組みと、愛用しているエンジン式草刈り機の活用方法をご紹介します。
“雑草=敵”
長年「雑草が生えているとぶどうの栄養が奪われる」「虫が増える」「見た目が悪い」などの理由から、雑草は徹底的に排除するものという認識でした。
実際、春から秋にかけて毎月草刈りを繰り返し、1年間で30日以上は草刈りに費やす日々。
真夏は灼熱の太陽の下、サウナに入っているような暑さの中での作業も多く、まさに体力との戦い。
「こんな作業いつまで出来るかな……」という事を考えながら作業していました。
草を刈ってもすぐ生える…その繰り返し
徹底的に草刈をして、地面すれすれまで刈り込んでも、1ヶ月後にはまた元通り。
しかも、次に生えてくる雑草はより強力に生えてくる印象でした。
その当時の草刈りは、土がむき出しになるくらい雑草を完全に取り去ることでした。
土壌が露出すると、しばらくするとカチカチになって、乾燥すればすぐにカラカラ、雨が降れば地面がぐちゃぐちゃ。
水はけが悪くなったせいで、ぶどうの実が裂果(果皮が割れる現象)することもしばしば。
↓の記事でも書いてる通り、雨が降った後の実の状態が悪くどうしたらいいかと悩んでいました。
「水分管理ってどうやってるの……。」
「畑に水を撒きに行っても雀の涙程度の状況……。」
どうしたらいいのかなと悩んでいたのですが、除草作業がむしろ栽培環境を悪くしているのではないか?ということを教えてもらいました。
「草を活かす」発想で、ぶどうの土壌環境が劇的に改善!
そんなときに知ったのが「雑草も畑の一部として活用する」という考え方でした。
色々とそれから調べた結果、自然栽培の手法でも活用されている高刈り(たかがり)という草刈りスタイルを取り入れました。
地表の草はあえて残し、膝丈ほどに伸びた部分だけをカットすることで、以下のようなメリットが得られています。
- 草が天然のマルチの役割を果たし、土の水分を守る
- 日差しから地表を守り、土壌の温度上昇を抑える
- 雑草の根が土を緩め、雨水の浸透性がアップ
- 雨の日でも地面が泥だらけになりにくく、作業しやすい
さらに、水分調整のために排水溝(水路)も設置し、ぶどうの根がストレスを受けない環境づくりに取り組んでいます。
草刈りの頻度も1年に30回→6回へ
この「草を活かす」方法に切り替えたことで、なんと年間30回ほど行っていた草刈りが、今では6回程度にまで削減されました。
草をある程度残すことで、雑草が他の雑草の芽吹きを抑える働きもしてくれていますし、水分管理も驚くほど楽になりました。
それでもまだまだ畑環境を変えるのは一筋縄ではいかず、悪戦苦闘しつつですが徐々に草質も変わってくれるのを祈りつつ作業しています。
エンジン式草刈り機はやっぱり頼れる相棒!
草を残す方針とはいえ、やはり全体を整えるには機械の力が必要です。
当園では、エンジン式の草刈り機を主に使用。畑の周りの竹藪などは金属歯ですが、ナイロンコード式のカッターに付け替えています。
1人ではとても終わらないような雑草の量でも短時間で処理可能。夏の草刈りは体力勝負ですが、これがあれば作業もスピーディーになり、農作業のモチベーションもアップします。
問題点としては、燃料が割高だったり、使い込んでいるとエンジンの起動が上手くいかなくなって、エンジン起動するだけで汗だくになる事も…。
昔は電気式だとパワーが足りずバッテリーの持ちも良くなかったのですが、最近は電気式も増えているみたいなので、交換しようか悩んでいます。
\草刈り機について/
エンジン式の圧倒的なパワーが魅力ですね。
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2025年、6月の異常な暑さにも“草”が味方してくれる
今年(2025年)は、6月にもかかわらず真夏のような暑さの日がありますね。昼間は熱すぎてハウスに行けない日も続いています。ぶどうにとっては大きなストレスとなる環境で、熱による問題も沢山報告されています。
そんな時にも下に草が生えているおかげで、
- 地温の急上昇を抑え
- 根への熱ダメージを軽減
- 土の中の湿度を適度にキープしてくれる
など、目に見えない恩恵をたくさん感じています。
最後に:雑草との付き合い方について
雑草とどう付き合うかは、本当に難しいですね。
いぬいぶどう園では、「草も畑の一員」と捉えて活用していけるように、チャレンジしていきたいと思います。
いぬいぶどう園 大阪ぶどう直売所
店舗名 | いぬいぶどう園 |
販売責任者 | 乾 陽介 |
住所 |
大阪府柏原市国分東条町1-12 |
電話番号 |
072-977-0483 |
いぬいぶどう園は、大阪の柏原市でぶどう栽培を行っております。
収穫したぶどうは、直売所やオンラインで販売しております。祖父から父の代に引き継がれてから、除草剤は不使用。BLOF理論を用いて土壌分析し有機肥料でぶどうの栽培を行っております。
最近は自然栽培の手法を学びながら、土壌の改善だけでなく水はけ、土の状態、草の状態にも注目して栽培しています。
殺虫剤を使用していないため、ぶどうの中に、蜘蛛や虫がいる事が多くあります。ぶどうを食べる時はしっかりと洗ってからご試食下さい。