コンポスターを使った堆肥作りと自然循環型農業
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いつもご覧いただきありがとうございます。

今回は、一昨年から家庭で試している生ごみを処理するためにコンポスターを使った堆肥づくりを実験していますので、その取り組みについての紹介をさせて頂きます。

また、自然循環型農業というものや、他の地域や、世界での取組みについても調べましたので紹介させていただきます。

いぬいぶどう園は、長年にわたりぶどうの栽培を続けてきた家族経営の農園です。数年前までは収穫量や品質を重視し、慣行農法に準じた方法を取ることが多くありました。

しかし近年、気候変動や土壌の疲弊、害虫被害などにより、持続可能な農業の在り方が見直され始めており、私たちもぶどう栽培について見直ししています。

その中で今実験中のコンポスターを使った堆肥づくりや無煙炭化器、剪定枝の粉砕処理と残渣の利用について紹介していければと思っています。

目次

コンポスターとは?

コンポスターとは、生ごみや落ち葉などの有機物を微生物の働きで分解し、堆肥(たいひ)として再利用するための容器や設備のことです。

主に家庭や農園で使われ、生ごみの削減、土壌改良、循環型の生活の促進といった環境に優しいメリットがあります。

どの様に使うのかイメージがつかめていなかったので、農業で使用するような本格的なコンポスターではなく、家庭の生ごみを堆肥として利用する容器を利用しています。

自然循環型農業とは?

自然栽培や有機農業に関する情報を集めるなかで、「自然循環型農業」という言葉に出会いました。

自然循環型農業(しぜんじゅんかんがたのうぎょう)とは、農業を行う際に自然界の生態系を活かし、資源を循環させながら持続可能な方法で作物を育てる農業のことを指します。

化学肥料や農薬の過度な使用を避け、土壌、微生物、植物、動物が関わる自然のサイクルを活かすことで、環境負荷を軽減しながら高品質な農作物を育てることを目指します。

農園の剪定枝や家庭から出る生ごみをただ捨てたり燃やしたりするのではなく、堆肥化することで土に還元し、微生物の力を借りて循環させる。自然の為に何かできる事は無いかと思い新しい取り組みをスタートしています。

コンポスターと微生物:堆肥化の魅力と可能性

未活用だったコンポスターの再発見

実は、数年前からコンポスターが家に置かれていました。

しかし当時は、どのように活用すれば良いのか、使い方もよく分からなかったり、手間がかかりそうだと敬遠してしまったりして、ほとんど活用していませんでした。

落ち葉を集めて堆肥を作る活動

そんな中、兵庫県で公園や市街地の雑草や落ち葉を集めて堆肥を作る活動を進めているというお話を聞きました。

まずは、「家庭から出る生ごみを堆肥化できるかな」という些細な気持ちで、再びコンポスターに目を向け始めました。

適当に生ごみを投げ入れてみる

最初は適当に家庭で出る生ごみをポイポイと投げ込みながら進めていたのですが、強烈な悪臭や大量の虫が出るなど、ビックリする状況が日々起こってきました。

問題が発生するたびに原因を調べたり、対策をしていくうちに、微生物や発酵の仕組みについて少しずつ勉強を進めています。

その学びがコンポスターの有効性を再確認する後押しとなりました。

魚の頭や骨が完全に消えてビックリ

コンポスターを使い始めてビックリしたことは、魚の頭や骨など大きな生ごみを入れていても、いつの間にかきれいに分解されていることです。

今ではかなり微生物も増えてきたのか、子供が釣ってきた魚を捌いた後の骨や頭を入れても、しばらく置いておくと、ほとんど形がなくなるほどになりました。

土壌中の微生物がいかに大きな役割を果たしているかを実感しています。

微生物の力

堆肥化によって増える微生物は、土壌の栄養バランスや通気性を改善し、植物の生育を助けてくれるようです。

昨年はお客様におススメしていただいた、微生物資材も導入してみました。これをぶどう栽培に上手く取り入れれば、より健康的で持続可能な農業が出来ればと考えています。

微生物を使った環境活動について

微生物の力を使って、和泉市の海を綺麗にする活動をされている方もおられるようで、とても凄い活動だなとビックリしています。この分野について、今後も勉強していきたいと思います。

剪定枝の有効活用:粉砕実験と堆肥化への挑戦

従来の処理方法を見直し

いぬいぶどう園をはじめ、ほとんどの農家さんの剪定枝の処理方法は「燃やす」ことかなと思っています。近隣でぶどう畑をされている方ならご理解頂けると思いますが、大量の枝を処理するには燃やすのが一番効率的です。野焼きではなく、残渣の処理として必要な事として市などからも認められております。

燃やすと炭素が消える

しかし、燃やすとせっかくの炭素を含んだ有機物が大気中に放出されてしまいます。

また、最近は住宅地も増えてきたので、燃やしていると心配して色々とご迷惑をお掛けすることも多くなってきたので、改善が必要だなと思っていました。

無煙炭化器:炭焼き器を導入

その様な中で、一昨年に畑の環境を改善する資材として炭が有効ということや、炭焼きをする 無煙炭化器について教えていただき、「炭焼き」や「粉砕」して有効活用するという選択肢を知りました。

実際に炭焼きを行うことで炭化した剪定枝を土に混ぜたり、粉砕した枝をコンポストに入れて堆肥化するなど試行錯誤を続けています。

粉砕機を利用した実験プロセス

昨年末には農協さんから粉砕機を借り、剪定したぶどうの枝を細かく砕きました。ものすごい爆音でしたので、近所の方のご迷惑になりそうなのが心配なのですが、少し太い枝でもサクサク砕けたのは爽快でした。

砕いた枝は一か所に固めて堆肥化が進むかどうか実験中です。粉砕することで枝の表面積が増え、微生物が分解しやすくなるというメリットがあるようです。

堆肥化された粉砕枝は、土壌の通気性を良くし、水分や空気のバランスを整える役割を果たしてくれるというメリットも。

さらに、分解によって得られる有機質は土に栄養を与え、ぶどうの根の健全な成長をサポートしてくれるようです。

循環型農業へ近づけるように色々と取り組みをしているのですが、まだまだデメリットや労力を考えると、「燃やす」という単純な処理方法を上回るのは、まだまだ改善が必要かなというのが今の段階での感想です。

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生態系の変遷と課題:害虫から自然のバランスへ

カブトムシが減った気がする

子供の頃、ぶどうの房にカブトムシやクワガタムシがついている光景を良く目にしていたのですが、ここ数年はカブトムシやクワガタムシなどの昆虫を見かける機会が減っているような気がします。

その代わりにカメムシや綿虫、コガネムシ、アリなどが目立つようになったなと感じます。

殺虫剤の散布を減らした影響で今年はカエル、蝶々や蜂、バッタ、カマキリなどは少し増えたように感じますが、害虫と呼ばれるような単一の虫が増えすぎたりなどの影響はまだまだ強いように感じます。

大量発生する害虫とクレーム対応

とりわけ昨年は、カメムシが大量発生してお客様から「収穫したぶどうにカメムシがついている」とクレームをいただきました。

全国的にもカメムシが大量発生していることや、殺虫剤も減らしていることが原因だと思っていますが、生態系のバランスが崩れているような感覚もあります。

カメムシの対策について

カメムシを食べる生き物には、カマキリやクモ、テントウムシなどの捕食性の昆虫や、タチバチ科やコバチ科の寄生蜂なども有効ということです。

今年は蜘蛛も農園に沢山増えていましたので、少しずつ出来る事から豊かな生態系を目指していければと思っています。

世界のコンポスト事情と日本の現状

海外事例:フランス・アメリカ・ドイツの取り組み

フランス

2024年1月1日から、全国的に生ごみの分別が義務化されます。自治体がコンポスト容器を配布するなど、各家庭が手軽に生ごみを堆肥化できるしくみづくりが進んでいます。

アメリカ

バーモント州やカリフォルニア州などで生ごみの堆肥化が義務化され、大規模なコンポスト施設を自治体が運営しています。生ごみが埋め立て処分される量を削減し、土壌改良材として再利用する例が増えています。

ドイツ

リサイクルの先進国とされるドイツでは、家庭ごみの分別が徹底しており、コンポスト利用も推奨されています。学校教育でも資源循環の大切さを教え、子どもたちが自然に環境意識を育む体制が整っています。

日本におけるコンポスト普及の可能性

一方、日本では、家庭でのコンポスト利用はまだそれほど一般的ではないそうです。

住宅地の中やマンションで実践するのは勇気がいりますよね。

しかし、自治体によっては生ごみ処理容器の補助金制度を設けたり、集落単位で有機堆肥の共同利用を促進したりするところもあります。

また、有機農家との連携で生ごみを堆肥化し、地域の畑に還元するプロジェクトなど、先進的な取り組みも少しずつ増えているようです。

今後、環境への意識が高まるとともに、コンポスト利用がさらに普及していく可能性があります。

その流れの中で、私たちの経験も少しでもお役に立てられるように共有できればと考えています。

持続可能な農業を目指して

生態系を意識したぶどう栽培の実践

今年も引き続き、コンポストを活用した堆肥化の実験を続けます。

特に、ぶどうの根張りや土壌中の微生物量、害虫の発生状況などを定期的に観察し、科学的なデータも取りながら効果を検証していきたいのですが、まだまだ勉強不足ですので少しずつ進めていければです。

土をふかふかに

堆肥化やによって土がふかふかになれば、ぶどうの根はより深く広がることができ、安定した養分吸収が期待できるそうです。

また、生態系が回復することで、害虫の天敵も増えやすくなり、無闇な農薬使用を抑えられる可能性にも期待していきたいと思います。

雑草の力も活用

一昨年の地面はカチカチで夏になると大量の雑草が生え、雨が降ると地面はぐちゃぐちゃでした。しかし、昨年はかなり改善し、雨が降っても地面はしっとりするようになってきました。

冬に脚立を置くと地面が柔らかく脚立の足が沈むようなほどふかふかになってきました。

コンポスターでの堆肥作り【家庭から実験中】

自然の循環を実感できる

コンポスターに生ごみを入れるを自宅で始めると、生ごみの量が目に見えて減るので自然の為に何かできている感じを得られます。

昨年の夏には、家庭菜園で育てている野菜の肥料に使用したのですが、かなり沢山の野菜が育ってくれました。

コンポスト容器の選び方

庭がある場合は大型のコンポスターが置けるのですが、ベランダや室内であればあまり大きいのは難しいのと、匂いも気になりますね。

小型の密閉容器や電動生ごみ処理機もあるそうです。

自治体によっては購入補助や講習会を行っているところもあるそうです。

柏原市もやっているのでしょうか?

失敗しないためのポイント

幸い畑に置いていたので、匂いなどが発生しても耐えられたのですが、ベランダでは失敗できないので、堆肥化する時のポイントを調べました。

通気性:適度にかき混ぜて空気を入れ、嫌気性発酵を防ぐ

水分調整:水っぽい生ごみばかり入れると腐敗臭が発生しやすい

発酵促進材:おがくずや落ち葉など、炭素源を適度に混ぜると上手く発酵しやすい

米ぬかを入手できる方は、定期的に米ぬかを入れ微生物の栄養を増やしてあげたり、発効促進資材もホームセンターなどで売っているようなので、活用していただければと思います。

次の世代へ続く持続可能な農業と地域の未来

今年はぶどうを販売する時にでるぶどうの残渣など、活用していきたいなと考えています。

自然と共生する農業について、まだまだ勉強不足で分からないことが多いですが、生態系に配慮したぶどうづくりを実践することで、かつてのようにカブトムシやクワガタムシが戻ってくるような豊かな土壌を取り戻したいと願っています。

ベランダで出来るおしゃれなコンポスターなども沢山開発されています。

自宅での生ごみ処理を始めるには

自宅での生ごみを堆肥化するのに最初のステップとして、とても勉強になった動画を共有させていただきます。

マンションでのベランダや、自宅で簡単に始められるように丁寧に教えてくれているのでとても参考になります。

最近は食事を作る時に出る生ごみを集めたり、ミカンやバナナの皮などを集めるのが楽しくなってきて、生ごみは無いかなと探すようになるくらい楽しくなってきましたので、もし機会がありましたらお試し頂ければ嬉しいです。

【参考サイト】

日本の自治体による生ごみ処理補助金の事例

長久手市 生ごみ処理機等購入補助金https://www.city.nagakute.lg.jp/soshiki/kurashibunkabu/kankyoka/kurashi/gomi/josei/932.html

半田市 生ごみ堆肥化容器等設置奨励補助事業https://www.city.handa.lg.jp/machi/gomi/1003106/1003120.html

いわき市 家庭用生ごみ処理機等購入費補助制度https://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000001844/index.html

海外事例のソース

フランス
フランス 生ごみの堆肥化義務化(2024年施行)
https://eleminist.com/article/3186

アメリカ
バーモント州 生ごみの堆肥化義務化
https://www.provej.jp/column/rg/organic-waste

カリフォルニア州 生ごみ堆肥化の義務化と目標
https://www.provej.jp/column/rg/organic-waste

科学的データ

環境省 フランスの廃棄物削減・リサイクル政策概要
https://www.env.go.jp/content/000050475.pdf

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